指導医からのメッセージ

香川大学医学部歯科口腔外科学講座 教授 三宅 実
香川大学医学部附属病院
歯・顎・口腔外科科長

 三宅 実

私たち香川大学医学部附属病院、歯・顎・口腔外科は、香川県内の歯科口腔外科診療における基幹病院、“最後の砦”としての役割を担いつつ、歯科医師臨床研修施設として若手教育にも積極的に取り組んでいます。

1.教育方針

① 社会人、職業人としての自覚を持たせる
② チーム医療を担えるコミュニケーション能力を含む臨床能力を鍛える
③ リサーチマインドをもった医療人を育成する
の3つの柱からなります。

基本的には歯科医師臨床研修は1年間で修了しますが、2年目も後期研修の一環として考えています。指導医の下、口腔外科手術を中心に臨床研修を実施します。2年目からは、歯科小手術に加えて、水平埋伏智歯(難抜歯)、過剰歯、嚢胞を伴う埋伏歯、小帯切除、軟組織嚢胞・腫瘍等の手術を執刀してもらいます。顎変形症や悪性腫瘍切除術などでの手術助手も重要な研修医の役割です。チーム医療は重要で、院内他科診療科との診療情報の共有や症例の検討についても定期的に実施しています。医局員は積極的に参加し、コミュニケーション能力を高めてもらいます。

大学は研究機関でもあり、「リサーチマインドをもった医療人」とは、「教えられたことを実践することで満足するのではなく、自ら考え、調べ、行動できる医療人」を意味します。したがって当科が求めるのは、研修を単に一般歯科診療を行うための技術研修としてとらえるのではなく、より広い視点を持って研究にも意欲を持てる、自分を大きく育てる意欲を持った人材です。

2.研修内容

院内臨床研修は、地域の歯科・医科医療機関からの紹介患者さんに対する口腔外科診療と他科入院患者さんに対する口腔ケアを含む歯科診療が主な内容となります。本年度は、4名の研修医が各3か月ずつ、新患、口腔ケア、病棟【2グループ】の研修を行っています。

そのなかで研修医もチームの一員としてハイレベルの口腔外科診療を体験、実践することができます。歯科診療では、指導医の監督・指導の下に基本的歯科診療を行いながら、単なる歯科診療技術の習得だけでなく、歯・口腔の役割、意義を広く、かつ深く学んでもらいます。

当科は単独型研修施設ですが、研修期間中4週間は、口腔外科診療を活発に行っている病院歯科口腔外科、療養型公立病院の歯科、さらには矯正治療にも積極的に取り組んでいる開業歯科医院のなかから施設を選択して学外研修を行い、歯科診療について広い視野を得られるように配慮しています。

3.研修終了後の進路

これまでの研修医の進路は、本院での後期研修、社会人大学院を含む本学大学院進学、歯科開業医勤務など様々ですが、われわれとしては本院での後期研修、あるいは本学大学院進学を推奨しています。このうち後期研修は、2年目以降4年間、研修医からは継続して都合5年間、医員として研鑽を積むことができます。その間には、麻酔科研修(3年目以降の6か月間)のプログラムが用意されています。

認定医・指導医等の取得に関しては、当施設では、日本口腔外科学会認定医・専門医・指導医、日本口腔科学会認定医・指導、日本口腔インプラント学会専修医・専門医・指導医、日本歯科薬物療法学会専門医、日本小児口腔外科学会認定医・指導医、日本がん治療認定医機構認定医(歯科口腔外科)の取得が可能です。さらに香川県内の障害者歯科の専門施設での研修や勤務も可能であり、日本障害者歯科学会認定医・指導医の取得もできます。